個人の生成AI利用経験率は、日本が26.7%。米国は68.8%、中国は81.2%——総務省の調査によれば、日本は比較対象4カ国の中で最も低い水準にとどまっています。
前年度の9.1%からは3倍近くまで伸びましたが、それでも差はまだ大きく開いたままです。ドイツ(59.2%)にも届いていません。
個人だけの話ではありません。企業側で見ても、生成AIを「積極的に活用する」「領域を限定して利用する」といった方針を明確に定めている企業は49.7%にとどまり、半数近くはいまも方針が定まらないまま現場に任せています。何が数字の差を生んでいるのか、そして中小企業がまず何から始められるのか、一次データをもとに整理します。

個人の利用率で見る、日本の現在地
総務省「令和7年版情報通信白書」によると、2024年度における個人の生成AI利用経験率は、日本26.7%・ドイツ59.2%・米国68.8%・中国81.2%。日本は比較対象4カ国の中で最も低い水準です。
前年度(2023年度)と比べると、日本は9.1%から26.7%へと約2.9倍に伸びており、伸び率だけを見れば決して小さくありません(同時期、米国は46.3%→68.8%、ドイツは34.6%→59.2%、中国は56.3%→81.2%)。ただし、これは「低い水準からの伸び」であることが数字の中身で、絶対値の差は依然として大きいままです。
企業も「使う方針」が定まっていない
個人の利用率の差の背景には、企業側の姿勢の差もうかがえます。同白書によると、生成AIを「積極的に活用する方針」または「領域を限定して利用する方針」と定めている企業は49.7%(2024年度、前年度42.7%)。半数近い企業は、いまも方針を明確にしないまま現場任せで運用している、あるいは全く使っていない状態です。
方針がない状態は、「誰かが便利に使っている一方で、別の人はリスクを恐れて全く触っていない」というムラを生みます。会社としての方針が無ければ、使う人と使わない人の差はいつまでも縮まりません。
なぜ差が生まれるのか——人材不足という共通の壁
同白書は、企業がデジタル化を進めるうえでの課題・障壁として「人材不足」を挙げる日本企業の割合が48.7%にのぼり、比較対象国の中で最も高い水準だと指摘しています。他国の具体的な数字は同白書内に明記されていませんが、「人材不足を課題に挙げる企業の割合は、日本が他国と比べて圧倒的に高い」と総括されています。
使う方針を決める人も、使い方を現場に広める人も足りない——これが、個人の利用率の差にもそのまま跳ね返っていると考えられます。技術そのものへの関心の差というより、「誰が旗を振るか」の空白が、差を固定化させている面があります。

差を縮めるために、何から始めるか
いきなり全社に生成AIを使わせようとすると、かえって現場が混乱します。liensがAI導入支援で採っているのは、一番負担の重い業務を1つ選び、使ってよい範囲を決めたうえで、小さく試しながら広げていく進め方です。具体的な進め方は「AI導入の進め方——中小企業が失敗しないための5ステップ」、着手前に社内で確認しておきたいことは「AIツールを選ぶ前に、社内で確認しておきたい5つの質問」、使ってよい範囲の決め方は「生成AIの社内利用ルール・ガイドライン整備」で詳しく解説しています。
自社がいまどの段階にあるかは、次の3つに当てはめて考えると整理しやすくなります。
| 段階 | 状態 |
|---|---|
| ①方針なし・現場任せ | 使う人と使わない人がバラバラ。会社としての方針が無い |
| ②情報収集中・検討中 | 他社事例やニュースは追っているが、まだ何も決めていない |
| ③方針を決めて小さく試している | 使ってよい範囲を決め、1つの業務で実際に使い始めている |
①・②にとどまっている間も、海外との差、そして社内の「使える人」と「使えない人」の差は開き続けます。まずは1つの業務を選び、方針を決めて小さく試すところから始めることが、遠回りに見えて最短の一歩です。
関連記事: AI導入の進め方——中小企業が失敗しないための5ステップ / AIツールを選ぶ前に、社内で確認しておきたい5つの質問 / 生成AIの社内利用ルール・ガイドライン整備
出典一覧
- 総務省「令和7年版情報通信白書」個人におけるAI利用の現状(図表I-1-2-7ほか)
- 総務省「令和7年版情報通信白書」企業におけるAI利用の現状
- 総務省「令和7年版情報通信白書」各国企業のデジタル化の状況